最強の縫製

自分はなぜドッグリードを作るのか?への答えは「丈夫なドッグリードの作り方がわかってしまったから」。画像は、ザイルリードのロープとアタッチメントの縫製部分と市販されているダイニーマスリングの縫製部分を並べたものです。縫製方法は同じ閂(かんぬき)縫製です。

くろまるが愛用のドッグリード(アウトドア用品メーカーの丈夫なもの)を噛み切ってしまい、どうしても納得のいく丈夫なドッグリードが見つからず、自分で作る時に最も苦労したのは縫製方法でした。自分で手縫いしても全く望む強度にはならず、革靴を製造している靴屋さんに縫製をお願いしたものもありました。でもきれいな仕上がりと望む強度は実現できませんでした。

そこで、中古ミシンを扱っている業者さんにロープを送って「最適な縫製方法」を尋ねたところ、「閂(かんぬき)縫製」という方法を教えてもらいました。(デニム縫製で使われることも併せて教えてくれました)その時点では、「中古ミシン」購入も考えていました。それほどくろまるの散歩で安心して使えるドッグリードを必要としていました。

その後、車で30分ほど離れたところにジーンズを専門に製造している会社を見つけ訪問し相談したところ、ミシンを使わせていただけることになったのです。縫製のみを委託するのではなく、私が訪問してミシンを借りて自分で縫製するという方法でした。

ミシンをお借りしてザイルロープを縫製しリードにしてみたところ、予想以上に強度が高いことがわかりました。試しに公的機関で強度テストをしたところ、どんなに荷重をかけても破損するのは金属パーツでロープが切れたり、縫製部分が破損することはありません。

そして閂(かんぬき)縫製の強度を確信したのは、登山やレスキューで使われるダイニーマスリングを手に入れた時です。ダイニーマスリングは22kNの強度 (2.2tの耐荷重強度) をもつ細い紐です。ロープと違ってリング状になっていて、そのリングを岩や枝にかけ、もう一方に足をかけたりするアイテムです。そのリングは末端を縫製してリングにしてあるのですが、その縫製が閂(かんぬき)縫製だったのです。

ダイニーマスリングはリングの状態で22kNという強度です。ということはスリングだけではなく縫製部分も含めての強度なのです。

「そのような強度を持つ縫製方法を使える」ことがわかり、ドッグリードの製造・販売を始めることにしたのです。ザイルリードは自分の経験やお客様のご意見で進化してきましたが、閂(かんぬき)縫製だけは変えていません。そして、末端処理せずにきれいに仕上げる方法もわかり、ダイニーマスリングを使ったリードも発売することができました。

ドッグ・ギアのドッグリードは縫製部分を隠しません。それは、最強の縫製方法を採用しているから。ロープの接合部分がカバーされているドッグリードをよく見かけます。そういうリードはカバーから摩耗しますし、カバーしなければならない程度の接合強度なのです。

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