犬が登場する映画を思い出してみて、かなり多いことに気づきました。洋画の方が多いですね。ただし、犬が主役の映画や、観客を喜ばすために犬を登場させている映画(どうも邦画はその傾向が強い)はあまり紹介する気持ちになれません。主役を引き立てることに徹しているワンちゃんはとても愛しいですね。
クジョー(1983年・アメリカ) クジョー

スティーヴン・キングの小説「クージョ」の映画化作品。映画ではタイトルが「クジョー」になっています。クジョーは体重90kgのセント・バーナード。兎が逃げ込んだ穴に頭を突っ込み、奥に潜んでいたコウモリに噛まれ、狂犬病を発症します。
舞台はキング作品ではお馴染みのキャッスル・ロックというメイン州の田舎町。狂犬病を発症したクジョーはキャッスル・ロックの住民を次々と噛み殺します。主婦のドナと息子のタッドは車の中に逃げ込みますが、なんとその車は故障中で走行できない。二人対一匹の壮絶なバトルが始まります。
キングの作品は映画化される場合に非常に簡略化されます。というか、原作の書き込みが半端ないのでそのまま映像化したら、全て大河ドラマになってしまいます。原作では、狂犬病を発症する前のクージョの性格や、どのように狂暴化してゆくのかも丁寧に描かれています。(キング作品に登場するペットには「ダーク・タワー」の「オイ」という名のバンブラーという動物もいますが、心情まで描いているのはクージョだけですね)
原作冒頭には、殺人鬼フランク・ドッドや「デッド・ゾーン」の英雄ジョン・スミスの話があり、タッドの家の押入れに潜む悪霊も登場するところはキャッスル・ロックならではの展開です。クージョの悲劇も単なる「狂犬病は怖いよ」ではなく、吸血鬼やゾンビのようなホラーとして描かれています。
狂犬病の予防注射は毎年受けなきゃいけないですね。